2 為政第二 1 のバックアップ(No.1)


☆ 為政第二-一章

 

 子曰 爲政以德 譬如北辰居其所 而衆星共之

 

 子(し)曰(いは)く。政(まつりごと)を為(な)すに徳(とく)を以(もっ)てすれば、譬(たと)へば北辰(ほくしん)の其(そ)の所(ところ)に居(い)て、衆星(しゅうせい)の之(これ)に共(むか)ふが如(ごと)し。

 

☆意訳

 先生が言われました。

 政治を司(つかさど)るには、徳をもって行うことが大切です。徳とは皆が得をすることです。皆がしあわせになるように力を尽す。一人々々を大切に思いやり、配慮をする。そうできれば、皆が信頼し、頼ってくれるようになる。そこで信義を忘れずに安定して居ることができていれば、それは夜空を統(す)べる北極星の如き存在になります。総ての星は、北極星を中心にその周りを一糸乱れず(礼儀正しく)回っています。総ての星が、北極星を信頼して傅(かしづ)いているのですね。それなのに北極星自身は、威張(いば)って強く光り輝くようなことはありません。子貢に述べたように(学而第一、十五章)「富(と)みて礼を好む」という謙虚(けんきょ)な君子の姿勢で慎(つつ)ましく輝いているのです。

 政治の中心にある人がこの北極星のようであれば、その国は本当に星空の如く美しく豊かでしあわせな国になるでしょうね。

 

☆心理屋の勝手解釈

 勝手な想像ですが、孔子には、北極星の明るさが一等星ではなく二等星であるということも気に入っていたのではないでしょうか。それは、王の補佐の地位にいて、国を美事に平定していた、最も尊敬する周公(しゅうこう)旦(たん)の姿そのままであったのではないか、と思うのです。孔子にしてみれば、総ての人が尊敬の念をもって傅(かしづ)く周公旦の人柄と能力。孔子の懐(いだ)く理想の聖人像が、北極星に譬えられて語られた章のように感じられます。