10 郷党第十 10 のバックアップ(No.1)


☆ 郷党十、十章

 

 郷人飮酒 杖者出 斯出矣

 郷人儺 朝服而立於阼階

 

 郷人(きゃうじん)の飲酒(いんしゅ)には、杖者(じゃうしゃ)出(い)づるときば、斯(ここ)に出(い)づ。

 郷人(きゃうじん)の儺(だ・おにやらひ)するときは、朝服(てうふく)して阼階(そかい)に立(た)つ。

 

 ☆ 意訳(心理屋の勝手解釈)

 

 村人の宴会では、先生は老人を第一番に尊敬していました。ですから、老人がまだ残っているのに、お先に失礼する、というような「失礼」なことは決してしませんでした。老人が皆退出してから初めて、先生も退出していました。

 また昔から、誰もが恐れている最も大きなものとして疫病(えきびょう)をはじめとする、病気があります。得体(えたい)の知れない、太刀打(たちう)ちできないものなので、疫病神(やくびょうがみ)などとも呼ばれて恐れられています。それを神さんやご先祖様に頼んで、あらゆる疫病神を追い払ってもらおう、というお呪(まじな)いの儀式が、「だ、鬼やらい」或いは「追儺(ついな)」と呼ばれるものです。村人の疫病に対する不安をよく理解していた先生は、この村人の不安を少しでも小さくするために、国の行事のときに着る正装をして、礼に適った位置に立ち、村人を迎えたのです。それによって、お上(かみ)も疫病神を追っ払うことを一緒にやってくれているんですよ、だから安心して大丈夫ですよ、と伝えていたのです。

 

 ☆ 補足の独言

 

前半の敬老精神は、度々出てくるのでよく分かります。後半の、どうすることもできない村人の不安に対する共感的理解の在り方には、孔子の面目躍如たるものがあります。理屈の通らない不安や恐怖の感情を、そのまゝ受け止めて、村人が一番安心できる対応をしているのです。