5 公冶長第五 1 の変更点

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''&size(32){☆ 公冶長第五 一章};''
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'' 子謂公冶長 可妻也 雖在縲絏之中 非其罪也 以其子妻之''
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 子(し)、公冶長(こうやちゃう)を謂(い)ふ。妻(めあは)す可(べ)きなり。縲絏(るゐせつ)の中(うち)に在(あ)りと雖(いへど)も、其(そ)の罪(つみ)に非(あら)ざるなりと。其(そ)の子(むすめ)を以(もっ)て之(これ)に妻(めあは)す。
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''☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)''

 先生が弟子の公冶長(こうやちょう)のことを言われました。

 あの男は結婚をしても、ちゃんと夫(おっと)としての責務を果たしていける信の置ける奴です。前科者の烙印(らくいん)を押されていますが、それは明らかに冤罪(えんざい)でしょう。大切なのは世間体ではなくて、心の在り様(よう)です。彼には鳥語が話せる、という噂(うわさ)がありますが、それは彼の心の優しさや清らかさを彼の周りの人達が実感している証拠にもなりましょう。彼の有(も)っているこのような人徳が、彼の被(こうむ)った冤罪も晴らしてくれたのではないでしょうか。私の娘の結婚相手としては申し分のない善い男だと思います。

 そのように言われた先生は、驚く可きことか、本当自分の娘の婿(むこ)に迎えられたのです。
 そのように言われた先生は、驚く可きことか、本当に自分の娘の婿(むこ)に迎えられたのです。
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''☆ 補足の独言''

 「世間体(せけんてい)を気にしたり噂話に惑わされたりしてはいけない。実行動に表れているその人の心根(こころね)を能く観て判断する可きである。」などと言う人は多いですが、いざ自分のこととなると、普段言っていることとは裏腹な行動を取ってしまい、そこを突かれて弁解に四苦八苦する、という状景はよく見受けられますね。ところが先生はそうではありませんでした。完全に言行(げんこう)が一致しているのです。お弟子さん達は本当に吃驚(びっくり)したことでしょう。「ええーっ!あの前科者を婿に?」と大騒ぎになったに違いありません。「第五」の編集者達は、この衝撃的な出来事から先生の信念と誠実な行動力に感銘を受け、冒頭にこの章をもってきたのではないでしょうか。
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