2 為政第二 6

Last-modified: Tue, 08 Jun 2021 10:54:01 JST (1060d)
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☆ 為政第二 六章

 

 孟武伯問孝 子曰 父母唯其疾之憂

 

 孟武伯(まうぶはく)、孝を問ふ。子曰く。父母は唯(ただ)其の疾(やまひ)を之れ憂(うれ)ふ。

 

☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)

 孟懿子(もういし)の息子(長男)の孟武伯(もうぶはく)が親爺と同じように、親孝行とは何か、と質問してきました。

 先生が言われました。

 貴方(あなた)のお父さんお母さんが一番心配していることは何ですか。貴方が病気になってしまうのではないか、ということですね。お父さんお母さんに心配をかけないように努力をすること。お父さんお母さんが安心して毎日を過ごせるように、行動を慎(つつし)んで、病気にならないように摂生(せっせい)すること。これこそが今一番大事な親孝行だ、ということになりませんか。

 

☆ 補足の独言

 こうしてみると、親爺(おやじ)の孟懿子が如何(いか)に優れた人物であったかが伺(うかが)われます。孟懿子の親爺が孟懿子達二人の息子を孔子に弟子入りさせましたが、それは自分達三桓のやっていることに罪悪感を持っていたが故のことかも知れません。息子が罪を償ってくれることを期待する思いもあったのかも知れません。しかし三桓の壁、権力の壁は、余りにも大き過ぎたようですが。それで孟懿子は自分の息子孟武伯を、自分の親爺がしたように、孔子に弟子入りさせたのでしょう。

 前章では、孔子は孟懿子に対して、非常に厳しい要求を突きつけています。無理を承知でそれでも期待をするほどに孔子は孟懿子を信頼していたのでしょう。その孟懿子が預けた息子の孟武伯。彼には父親ほどの力はなかったようです。孔子には、息子を案ずる孟懿子の気持が能く解る。身体(からだ)を大事にして元気に育って欲しい。そうした孟懿子の、親としての願いに応える可くした、孟武伯への孔子の温かい思いの応答であるようにも感じられます。