2 為政第二 8

Last-modified: Tue, 08 Jun 2021 10:57:09 JST (1060d)
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☆ 為政第二 八章

 

 子夏問孝 子曰 色難 有事弟子服其勞 有酒食先生饌 曾是以爲孝乎

 

 子夏(しか)、孝を問ふ。子曰く。色(いろ)難(かた)し。事(こと)有りて、弟子(ていし)其の労(らう)に服(ふく)し、酒食(しゅし)有りて、先生饌(せん)す。曾(すなわ)ち是(これ)を以て孝と為(な)すか。

 

☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)

 子夏(しか)が親孝行について質問しました。

 先生が言われました。

 貴方(あなた)にとっては、愛情を表情にちゃんと出して、優しく温かく接する、ということが難しいですね。親に対しては、下働きのような労力を要するお世話は年下の者がし、直接的な食事やお酒の相手を務めるのは年上の子の役割である、という礼儀作法がありますが、それをきっちりとしているからといって、それで親孝行ができていると言えると思いますか。

 苦虫を潰したようなくそ真面目な顔でお世話をしていたのでは、お父さんもお母さんも緊張してしまって心が安まらないでしょう。恋人に接するときのように、近づきたい思いを持って敬愛の念の籠もった笑顔で接するように心掛けたらよいのではないでしょうか。

 

☆ 補足の独言

 同じに孝を問われても、孔子から出てくる応(こた)えは斯(か)くまでも違います。質問者に対する深い理解がなければ、役に立つ応答はできない、ということですね。

 それ故に、孔子の対機(たいき)の応答を見ることによって、反対に質問者の性格や様々が想像できて、これまた楽しいですね。

 七章と八章は、何となく似た内容に思います。子游と子夏は共に孔門十哲に選ばれていて、しかも共に文学に秀(ひい)でている、とされています。この二人に共通するのは、賢いけれども少し情に薄いところがある、ということかもしれませんね。