4 里仁第四 11

Last-modified: Tue, 14 Sep 2021 16:19:49 JST (962d)
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☆ 里仁第四 十一章

 

 子曰 君子懷徳 小人懷土 君子懷刑 小人懷惠

 

 子曰く、君子は徳(とく)を懐(おも)ひ、小人(せうじん)は土(ど)を懐ふ。君子は刑(けい)を懐ひ、小人は恵(けい)を懐ふ。

 

☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)

 先生が言われました。

 今日もまた一寸(ちょっと)、覚え易(やす)いように、韻(いん)を踏んだ言葉遊びで説明してみましょうかね。

 国を治める役に就く人は、必ず君子でなければなりません。そのとき君子は一番に徳を深く胸に懐(いだ)いています。自分が治める民のしあわせは何処(いづこ)にありやと。それが為政者の徳です。さすれば民は安心して自分達の住み耕す、そして生きる上での心の拠(よりどころ)である大事な大地のことを深く思うことができるのです。「君子懷徳、小人懷土」ですね。
 また君子は、決して刑をもって民を統治する等(など)というような愚かなことはしません。その君子が徳をもって自分達に刑を求めるということは、理不尽な刑は科せられない、と分かります。ちゃんと反省すれば、納得のいく恩恵が必ず下される、ということを安心して思うことができるでしょう。「君子懷刑、小人懷惠」というところですね。

 

☆ 補足の独言
 孔子は音楽や詩が大好きですが、それだけに音(おん)や韻(いん)の感覚が非常に優れているようです。そのためか、論語の文章には韻を踏んだものや言葉遊びになっているものが多く見られます。この章も言葉遊びになっていますが、例えば八佾第三の十三章の「奥(おう)・竈(そう)・祷(とう)」のような内容の深みが感じられません。誰かが孔子の名を借りて愚にもつかぬことを言ったのではないか、という不審が拭(ぬぐ)えないのですが、若し本当に孔子が言った言葉であるならばこういう意味だろう、と思う訳をしてみました。