4 里仁第四 18

Last-modified: Sun, 10 Oct 2021 13:12:25 JST (937d)
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☆ 里仁第四 十八章

 

 子曰 事父母幾諫 見志不從 又敬不違 勞而不怨

 

 子曰く、父母(ふぼ)に事(つか)へては幾諫(きかん)す。志(こころざし)の従(したが)はざるを見ては、又(また)敬(けい)して違(たが)はず、労(ろう)して怨(うら)みず。

 

☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)

 先生が言われました。

 父や母を大切にする、親孝行をする、というのは、事によっては大変に難しいことがあります。それは、親が間違ったことをしている場合です。親であっても間違ったこと、礼や義に反することは糺(ただ)さねばなりません。しかし、そのときに厳しく親を非難する、ということになってはいけません。それでは礼にも孝にも反することになってしまいます。飽(あ)くまでも親への愛情と信頼を持って、柔らかく婉曲(えんきょく)に優しく諫(いさ)めるようにしなければなりません。それでも親が理解してくれず、自(みづか)らの不正を正そうとしなかったならば、それでもその親を敬愛することを忘れてはなりません。取り敢(あ)えず、親の間違いに従いながら、根気よく糺していく努力をやり続けることです。その様な親に対しても、決して腹を立てたり恨んだりしてはいけません。

 

☆ 補足の独言

 孔子は父を知らず、母も若くして亡くした人です。父母を慕い求める思いは、計り知れない大きなものがあったように思われます。そのため、度を超した酷(ひど)い親に対する子供の苦しみに対しては、心底までの理解が及ばなかったのではないか、とカウンセリングの現場からは思うことがあります。