4 里仁第四 6

Last-modified: Sun, 05 Sep 2021 18:37:39 JST (971d)
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☆ 里仁第四 六章

 

 子曰 我未見好仁者 惡不仁者 好仁者 無以尚之 惡不仁者 其爲仁矣 不使不仁者加乎其身 有能一日用其力於仁矣乎 我未見力不足者 蓋有之矣 我未之見也

 

 子曰く、我(われ)未(いま)だ仁を好(よみ)する者、不仁を悪(にく)む者を見ず。仁を好(よみ)する者は、以て之に尚(くは)ふること無し。不仁を悪む者は、其れ仁を為さん。不仁者をして其の身に加(くは)へしめず。能く一日(いちじつ)も其の力を仁に用(もち)ふること有(あ)らんか。我未だ力の足らざる者を見ず。蓋(けだ)し之(これ)有(あ)らん。我未だ之を見ざるなり。

 

☆意訳 (心理屋の勝手解釈)

 〔それは或る日の孔子学園の休憩時間のできごとでした。生徒達がやって来て、孔先生に言いました。「先生。今皆で見たことないもの尽(づ)くしをして遊んでいるんですが、蓬莱山(ほうらいさん)の桃の木とか、龍神が落っことした宝玉とか。先生の見たことないものって何がありますか。」〕

 先生は応えて言われました。

 うーん、そうだなあ。貴方達の中に、本当に仁が好きだ、と言って喜びに満ちている者を未(ま)だ見たことがないなあ。それから、不仁な奴は大嫌いだ、と大いに憤(いきどお)っている、という者も、残念ながら未だ見たことがないなあ。

 この、仁が好きだというのは、これは最高ですね。何も言うことはありません。

 しかし不仁を嫌うのは、そこまでではないですけれど、とても善いことです。何故ならば、不仁を嫌う心が確かならば、必ず仁を行うからです。そしてその強い意志があれば、不仁に我が身を毒されることはありません。皆さん、これは貴方達にもできることですよ。

 先づはたったの一日で善いですから、自分の有(も)っている全活力、精神力を仁の実践のために使ってみてください。先輩達も皆そうやって仁を身につけていきました。

 私は、力不足のためにこの「一日仁(いちじつじん)」が実践できなかった、という人を未だ見たことがありませんねえ。

 今ので「見たことない」は三つですね。(^_^)

 若しかしたら世の中にはそんな力のない人もいるのかも知れませんが。でも私は未だ一人たりともそんな人は見たことがないですね。皆さんが不仁を嫌い、最終的には仁を好(よみ)する人になって、仁を好む人、不仁を嫌う人が沢山見れるようになることを楽しみにしていますよ。

 〔こうして孔先生からやる気をもらった生徒達は、「休憩時間なのに善いことを教われて善かったなあ」と元気一杯、喜んで教室に走って戻りました。〕

 

☆ 補足の独言

 この章は、最初の二文が孔子の他の文章と矛盾していて、如何(どう)理解すればよいのかが悩めることで有名な章だしょうです。それでこれを弟子の教育の言葉と解釈してみました。これで孔子らしい筋の通った話になったのではないか、と思い満足しました。