6 雍也第六 6

Last-modified: Sun, 13 Nov 2022 11:46:31 JST (537d)
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☆ 雍也第六 六章

 

 季康子問 仲由可使從政也與 子曰 由也果 於從政乎何有 曰 賜也可使從政也與 曰 賜也達 於從政乎何有 曰 求也可使從政也與 曰 求也藝 於從政乎何有

 

 季康子(きかうし)問(と)ふ、仲由(ちゅういう)は政(まつりごと)に従(したが)はしむ可(べ)きか。子(し)曰(いは)く、由(いう)や果(くわ)なり。政に従ふに於(おい)て何(なに)か有(あ)らん。曰く、賜(し)や政に従はしむ可きか。曰く、賜や達(たつ)なり。政に従ふに於て何か有らん。曰く、求(きう)や政に従はしむ可きか。曰く、求や芸(げい)あり。政に従ふに於て何か有らん。

 

☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)

 先生の晩年のことですが、魯国の筆頭家老を務めていた季康子(きこうし)が、国政の補佐や我が季孫家の政務を担当する人材を探していて、先生に尋ねました。

 仲由(ちゅうゆう)(子路(しろ))は政(まつりごと)を任せても大丈夫でしょうか。

先生は言われました。

 由ちゃんは決断力に富んでいます。肝腎な時に躊躇(ちゅうちょ)したり尻込みすることは決してありません。これは政には大変に有用な適性と言える能力であり、個性です。政務に携わらせることに何の問題がありましょうか。

 季康子は重ねて尋ねました。

 賜(し)(子貢(しこう))は政を任せても大丈夫でしょうか。

 先生は言われました。

 賜ぃちゃんは物の道理を極めております。如何(どん)なことでもてきぱきと処理ができます。これは政には大変に有用な適性と言える能力であり、個性です。政務に携わらせることに何の問題がありましょうか。

 季康子は続けて尋ねました。

 求(きゅう)(冉有(ぜんゆう))は政を任せても大丈夫でしょうか。

 先生は言われました。

 求ちゃんは何でもできます。何をやらせても巧いものです。これは政には大変に有用な適性と言える能力であり、個性です。政務に携わらせることに何の問題がありましょうか。

 それぞれの特性を確りと理解して、適材適所に使うことができれば、きっと善い政治が実現するでしょう。

 

☆ 補足の独言

 聞くところによると、論語編纂の当初は、未だ紙が普及しておらず、竹簡が用いられていたそうです。竹簡は作るのに手間がかかり、嵩張(かさば)って大変だったので、長い文章は不可だった、という可能性も考えられるそうです。

 この章は、孔子らしくない無駄な繰返しが重なっており、内容も、孔子がこんな表面的な指摘だけで終わるか?と疑問を懐(いだ)かせられるようなものです。明らかに孔子を深く理解できていない後世の誰かが、孔子の伝記に照らして考えついた、完全なる創作ではないのか、と私個人としては疑っています。

 しかし、誰にもその人の個性と能力に応じた長所が必ずあるのだ、という孔子の主張だと理解できて、その点は頷(うなづ)けています。