4 里仁第四 20

Last-modified: Wed, 20 Oct 2021 12:15:25 JST (926d)
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☆ 里仁第四 二十章

 

 子曰 三年無改於父之道 可謂孝矣

 

 子曰く、三年、父(ちち)の道(みち)を改(あらた)むる無きは、孝(かう)と謂(い)ふ可し。

 

☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)

 貴方の父上は立派な人でしたから、父上が生前に行っていた言動を能く振り返って、確(しっか)りと模倣(もほう)すると善いですね。同じように行動してみれば、今まで観察していただけでは解らなかったことがより深く解ってきます。三回忌(丸二年)の喪が明けるまで模倣をし続ければ善いでしょう。そうすれば親の思いを正しく受け継いで、貴方自身の自分らしい生き方が確立できます。それこそが、貴方の親が本当に望んでいることではないですか。親を安心させ喜ばせること、これが親孝行の最も大切なことです。

 

☆ 補足の独言

 この章は、学而第一の十一章の後半部分と全く同じです。重要だから繰(く)り返している、とは思えません。単に編集者が気付かなかったというだけでしょう。

 この二つの章は、この会話を聞いていた別々の弟子が其々(それぞれ)に、自分の属する「論語編集委員会何とか支部」に提出したものでしょう。こちらの章の提供者は、より自分の身につまされて聞いていたので、我が身に照らして深く感じ入った「三年父の道を改むる無きは、孝と謂う可し」という言葉だけが深く印象に残ってしまった、という次第ではないのかな、なんて好き勝手なことを考えたりして「論語」を楽しんでおります。

 どちらの章も一般論を述べたのではないと思います。或る特定の人の質問に対して答えたものでしょう。若しかしたら孟懿子(もういし)かな、とも思ったりもするのですが、これは妄想の域ですね。何にせよ、「如何(どん)な父に対しても子というものは」ではなくて、「このような父に対しては子は斯(か)く在る可きだ」ということの筈だと私は考えます。