4 里仁第四 23

Last-modified: Sun, 31 Oct 2021 12:26:14 JST (916d)
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☆ 里仁第四 二十三章

 

 子曰 以約失之者鮮矣

 

 子曰く、約(やく)を以(もっ)て之(これ)を失(うしな)ふ者(もの)は鮮(すく)なし。

 

☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)

 先生が言われました。

 何事においても、大切なのは「中庸(ちゅうよう)」ということです。極端はいけません。過ぎても足らなくても駄目です。如何(どん)なことにも適切というものがあります。適切は「ええ加減」ではありません。正(ただ)しく厳密に「善い加減」なのです。この「善い加減」は、気が緩(ゆる)んでいては決してできるものではありません。常に約(やく)する、すなわち身を引き締(し)めて物事に対処する、ということで初めて可能になるのです。

 何事にも身を引き締(し)めて、驕(おご)らずしゃしゃり出ず、礼儀正しく控(ひか)え目に対処していれば、失敗をしたり偉い目に遭ったりすることは先づないでしょう。

 

☆ 補足の独言

 この「約(やく)」というのは、現実的具体的に「質素倹約する」というような行動を意味するのではなくて、その元になる精神的な心構えの在り方を言っているのだ、と思います。その心構えから「質素倹約」というような具体的行動も必然的に出てきて「約」という言葉の中に含まれるのです。そう考えるので、精神的な心構えは「身を引き締めて物事に対処する」、具体的行動は「驕らずしゃしゃり出ず、礼儀正しく控え目に対処する」として訳してみました。

 それからこれも私の勝手な思いなのですが、この章は明らかに、中庸の解説を述べたものでもある、と思います。