7 述而第七 18

Last-modified: Fri, 17 Nov 2023 16:53:39 JST (168d)
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☆ 述而第七 十八章

 

 葉公問孔子於子路 子路不對 子曰 女奚不曰 其爲人也 發憤忘食 樂以忘憂 不知老之將至云爾

 

 葉公(せふこう)、孔子(こうし)を子路(しろ)に問(と)ふ。子路対(こた)へず。子(し)曰(いは)く、女(なんじ)奚(なん)ぞ曰(い)はざる。其(そ)の人(ひと)と為(な)りや、憤(いきどほり)を発(はっ)して食(しょく)を忘(わす)れ、楽(たの)しみて以(もっ)て憂(うれひ)を忘れ、老(おい)の将(まさ)に至(いた)らんとするを知(し)らずと云爾(しかいふ)と。

 

☆ 意訳 (心理屋の勝手解釈)

 楚(そ)の国の葉県(しょうけん)の長官で、名高い英雄である葉公(しょうこう)が孔子の人物像を子路(しろ)に尋ねました。賢人としても名高い葉公の質問です。口下手な子路が間違ったことを言えば、先生にどんな迷惑が掛かるか知れたものではありません。物怖(ものお)じしない子路ですが、流石(さすが)に緊張してしまって何も言えませんでした。

 帰って先生にそのことを報告すると、先生は笑って言われました。

 そうですか、それは残念なことをしましたね。このように言っていれば、会ってもらえたかも知れませんかねえ。

 先生の為人(ひととなり)は、好奇心旺盛で、物凄い集中力です。何かをし始めると、納得がいくまでやり抜いてしまわないと気が済みません。その為に飯を食うことすらも忘れてしまうことが初中終(しょっちゅう)です。そしてそれを心から楽しんでしているので、普段の様々な悩みや心配事なども、綺麗さっぱり忘れ去っているようです。そんなですから、自分の年齢が老境に差し掛かっている、という自覚が全くありません。実際私達弟子よりも若いと思えるような行動力実践力です。とか何とか言っていたら、関心を持ってもらえたかも知れませんね。まあきっとこれも運命でしょう。天が必要とすることであれば何とかなりますから。

 先生はがっかりした気持ちを押し殺して、柔(にこ)やかにそう言って終わりました。その後(のち)結局、先生が楚に仕官することはありませんでした。

 

☆ 補足の独言

 ということだったのか如何(どう)かは分かりませんが、これが天命だったのだろうと思いたいのが、私の気持ちです。長江(ちょうこう)を渡って楚の国に行く可きではない。何故なら、孔子はこよなく周の国を愛していたからです。天は孔子を、周に敵対する楚には行かせなかったのだなあ、とロマンチックにファンタジックに夢見たい私なのです。